弊社のご紹介している「終活俳句」とは、終活に関する内容を俳句に詠むことではなく、終活の一環として、シニアの方が人生の後半・晩年に、新しい趣味として、俳句の勉強を始めることです。「終活俳句」は、人生の晩年をより豊かで穏やかな時間に導く、終活・趣味の1つだと考えています。
俳句は自由です。紙と鉛筆があれば出来ます。遠くに出かけなくても、身近の自然や季節のこと、日々のちょっとした出来事や過去という宝物を詠めます。体が不自由になっても、伴侶に先立たれて一人になっても、人生の最後まで、俳句は皆さんと共にあります。認知症予防にもいいそうですよ。
古語や旧仮名遣いや文法、結社や句会や入選落選、上手・下手など考えずに、自分の為だけに、「70の手習い・80の手習い・90の手習い・100の手習い」で、俳句と共にある生活・人生を始めてみませんか。
全くの俳句の素人である私が、この「終活俳句」企画のために、自分で俳句を
詠み始めて、4年が経ちました。最初の1年は、企画のために毎月5句を目標に、
軽い気持ちで詠んでいました。2年目頃から、自分自身、「終活俳句」の意義と
効果を身に染みて実感するようになり、本屋で「俳句入門」「俳句の作り方」「日本の名句」などの本を購入し、週に1,2時間程勉強するようになりました。
3年目頃からは、安くて小さいものですが、「歳時記」も揃え、日曜大工ならぬ
日曜俳句といった感じで、終活俳句が趣味となりました。そして今では、本業の終活パートナーの活動でも、終活俳句をご紹介しているという次第です。
今回、初心者でもこんな風に気軽に終活俳句を実践できるということを、一人でも多くの方にお伝えしたく、(素人ですので、俳句のクオリティはご容赦頂くとして)この4年で詠めた約330句の中から約180句を選んで、終活俳句集「球磨時雨」を作ってみました。アマゾンと楽天ブックスにてご購入いただけます。
5年目からは、第2句集「奥の菊道」を目標に、終活俳句を実践していきます。
名月の心に浮かびて眠られず 緑川行燈
令和7年11月6日
菊池渓谷
翁にも紅葉見せばや奥の菊道 令和7年11月12日
子ども等の 小さい頃は 毎年に 家族で出かけた 菊池渓谷
あの頃の家族と歩くや奥の菊道 令和7年11月12日
3人の娘に恵まれアルバムに
三枚の写真三度の七五三 令和7年11月15日
行く鳥や来る鳥やまた渡り鳥 令和7年11月17日
今宵妻実家に一泊するとかや
呑み過ぎも咎められずや神の留守 令和7年11月18日
山茶花も生き急ぐにや咲きて散る 令和7年11月20日
大根引き洗ひて干して真白かな 令和7年11月21日
散歩道前に後に木の実降る 令和7年11月22日
小鳥来て毎朝喜ぶ心かな 令和7年11月23日
生かされて小春日にある五体かな 令和7年11月24日
冬めくや陽は薄くなり静かなり 令和7年11月28日
菊池渓谷
渓谷の岩肌錦の紅葉かな 令和7年11月30日
浄けさや紅葉の奥に滝の音 令和7年11月30日
境内を埋め尽くしにけり大銀杏 令和7年12月2日
薄き陽に白髪揺らす枯尾花 令和7年12月3日
枯菊や命の頃を忘れまじ 令和7年12月4日
天上の氷の月の統べる夜 令和7年12月5日
浮島神社
金色の朝靄漂ふ浮寝鳥 令和7年12月6日
月冴ゆる程に徹する無三昧 令和7年12月7日
時を待つ3句
今はただ静かに暮らさむ冬の雨 令和7年12月12日
ただじつと何かを待つや冬木立 令和7年12月15日
夢を見る春野花野の枯野かな 令和7年12月18日
真夜中に幾千万のサンタかな 令和7年12月25日
将軍といふ名に違わぬ冬の日や 令和7年12月26日
大根
夏の日の種はいよいよおでんかな 令和7年12月29日
亡き妻と幼き頃の子供等と
思ひ出に酌み交わさんや燗熱し 令和7年12月30日
門松やいよいよ最後の一里塚 令和8年1月1日
お湯の量いつもの二倍初湯かな 令和8年1月1日
寒の水五臓六腑を教えらる 令和8年1月2日
息真白自分に勝たん寒稽古 令和8年1月3日
竹割るゝ音高らかにどんど焼 令和8年1月11日
寝転ぶや冬三日月の空低く 令和8年1月12日
大寒の夜各々の浄土かな 令和8年1月20日
寒月の下寒鯉の水前寺 令和8年1月21日
二羽
着膨れの娘に追はれて寒雀 令和8年1月22日
思ひ出や風花の中輝けり 令和8年1月23日
寒椿お色直しや雪の朝 令和8年1月26日
失せ物の見つかりし如冬の梅 令和8年1月30日
寒梅にたどり着きにし命かな 令和8年1月30日
こと切れる日は今日明日や落椿 令和8年2月1日
鬼巣食ふ人間同士豆を撒く 令和8年2月3日
「少しだけ歩いてみる」と急に言う
立春に病床の人歩き出す 令和8年2月4日
緑川
東風吹きて春を忘れず梅の花 令和8年2月11日
梅の香に孫抱き上げて顔を寄す 令和8年2月11日
そう言えば随分昔にこうやって
紅梅や幼き頃の娘たち 令和8年2月11日
思い出の次々降るや春の雪 令和8年2月12日
惜しみなく命を懸けよ猫の恋 令和8年2月14日
寒明けて薬の量の少し減り 令和8年2月19日
菊池川
故郷に今も野を焼く人々や 令和8年2月20日
今少し春を待てとや冴返り 令和8年2月22日
鶯や振り返る度何処にいる 令和8年2月26日
遠山の裾にも暮らしや朝霞 令和8年3月1日
如月の月やもうすぐ西行忌 令和8年3月4日
卒業の制服どの子も笑顔かな 令和8年3月8日
引鶴の小さな点となりにけり 令和8年3月9日
心痛を秘めて笑顔やシクラメン 令和8年3月10日
黄水仙在野に暮らす君子かな 令和8年3月12日
どう生きて 行けばいいのか ようやくに 分かった頃に 命終わりぬ
菫程な小さき人を生きていかん 令和8年3月13日
三界は心一つと菫花 令和8年3月13日
田に畦に今日から一面紫雲英かな 令和8年3月14日
海原や見渡す限り麦青む 令和8年3月14日
涅槃西風迎へに来給ふ紫雲かな 令和8年3月15日
童心や裸足になりて青き踏む 令和8年3月16日
その場所で命の限りものの種 令和8年3月17日
揚雲雀お前も春を喜ぶや 令和8年3月18日
笛の音や空に吸われし揚雲雀 令和8年3月18日
菊池川
故郷に懐かしく見る田螺かな 令和8年3月20日
農薬の無き田畑故田螺かな 令和8年3月20日
叔父
食べるかと聞かれて悩む田螺かな 令和8年3月20日
「美味かぞ」と言われて「食べる」と返事する
球磨三十三間堂
蛇穴を出て行く先のご開帳 令和8年3月23日
よく見れば確かに薺の花あちこち 令和8年3月24日
幸せの黄色い菜の花畑かな 令和8年3月25日
思ひ出の中にも菜の花咲きにけり 令和8年3月25日
菜の花や黄昏時を纏ひけり 令和8年3月25日
いよいよや開花予報の聞こえけり 令和8年3月25日
陽炎をまた糸遊とは言ひ得たり 令和8年3月31日
満ちて今こぼれ始める桜かな 令和8年4月1日
眠りても夢の中にも花ぞ散りける 令和8年4月2日
どうしよう早くも花の雨予報 令和8年4月3日
どうしても立ち去り難き桜かな 令和8年4月3日
花吹雪浮世に忘れ形見かな 令和8年4月5日
刹那には深さありけり桜散る 令和8年4月5日
やがて咲きやがて散るゆゑ桜かな 令和8年4月6日
来年も桜は咲かむ我は無くとも 令和8年4月7日
四苦八苦生まれたからには仏生会 令和8年4月8日
くう
あちこちに空から蝶の生まれけり 令和8年4月8日
羽音して蜂の目指すは我や花や 令和8年4月9日
八十年旅路の果てや球磨遍路 令和8年4月10日
囀の空にこぼれる夜明けかな 令和8年4月11日
うた
囀や天上の詩奏でをり 令和8年4月11日
囀やマイフェイバリット春の歌 令和8年4月11日
一斉に麦の穂出揃ひ乱れなし 令和8年4月12日
百劫の種を育む穀雨かな 令和8年4月20日
菊池川
故郷の山に入れば梨の花 令和8年4月21日
故郷に春灯いくつか浮かびけり 令和8年4月21日
故郷は消えてゆけども山桜 令和8年4月22日
何一つ予定を入れず春長閑 令和8年4月23日
春の夜や痛みも恨みも柔らげり 令和8年4月24日
春暁や死をお迎へと思へけり 令和8年4月25日
春の宵値万金命かな 令和8年4月25日
艶帯びて次々浮かぶ藤の宵 令和8年4月27日
山吹の散るや今年も実は無しや 令和8年4月28日
山吹の散ればどこから滝の音 令和8年4月28日
今はまだ四季のある国更衣 令和8年5月1日
きぬ
蛇も衣脱ぎにけるとか更衣 令和8年5月1日
一斉に紋白宙に浮かびけり 令和8年5月2日
双の蝶指揮者のタクトの動きかな 令和8年5月3日
親になり心を知るや燕の巣 令和8年5月4日
鯉幟息子よ元気にしているか 令和8年5月5日
連なりて一山となる躑躅かな 令和8年5月6日
狭き門躑躅の寺を登りけり 令和8年5月6日
猪に旬の筍取られけり 令和8年5月7日
年々に筍飯を好きになり 令和8年5月7日
牡丹の一華一つの小宇宙 令和8年5月8日
白牡丹緋牡丹英雄二人かな 令和8年5月8日
母の日の花は今年は白くなり 令和8年5月10日
孫生まれて次の世代や風薫る 令和8年5月10日
若葉して光の川や緑川 令和8年5月11日
新緑の濃淡百種の緑かな 令和8年5月12日
新緑の年々眩しくなりにけり 令和8年5月13日
青空の前に葉桜立ちにけり 令和8年5月14日
日一日黄檗に移る麦の秋 令和8年5月15日
夕暮を纏ひて金の麦の秋 令和8年5月16日
卯の花の微塵も染まらず真白かな 令和8年5月17日
卯の花や雪と詠むのも道理かな 令和8年5月17日
卯の花の咲き乱るゝや初夏の雪 令和8年5月17日
枯れていた朝顔種を散らしけり 令和8年5月18日
今日までも朝顔種を守りけり 令和8年5月18日
雨は止み夜天を震はす蛙かな 令和8年5月19日
いにしへ
古と変わらず日本の蛙かな 令和8年5月20日
種としての無数の命や蛙の夜 令和8年5月21日
種としての命のまゝに蛙の夜 令和8年5月21日
白鷺の時間は止まれる如く在り 令和8年5月23日
やはらかに白鷺短く飛びにけり 令和8年5月23日
白鷺の確かに一歩進みけり 令和8年5月23日
だるまさんがころんだ
白鷺のその技たるや名人芸 令和8年5月23日
令和にも夏を告げるや時鳥 令和8年5月25日
山中の鳥居の前に我立てば
神門の呼び鈴なるや時鳥 令和8年5月25日
秋は風夏の来るは雲に知る 令和8年5月26日
朝顔の今年の一輪咲きにけり 令和8年5月27日
解禁日今日から球磨川鮎の川 令和8年6月1日
仰ぎ見る憧れて見る今年竹 令和8年6月2日
俯いて恋煩ひや花菖蒲 令和8年6月3日
「紫が好き」と亡き妻花菖蒲 令和8年6月3日
雨の日の紫陽花すなわち慈愛かな 令和8年6月4日
紫陽花や幼子亡くした母の数 令和8年6月4日
紫陽花や幼子遺した母の数 令和8年6月4日
朝顔に あやめ紫陽花 花菖蒲
紫や六月の花それぞれの 令和8年6月5日
世の人の見つけぬまゝや栗の花 令和8年6月6日
さくらんぼ叶わなかつた夢いくつ 令和8年6月7日
種としての命を繋ぐや蛍の火 令和8年6月8日
人の世に無数の未練や蛍舞ふ 令和8年6月8日
二人見し景色はいくつ蛍の夜 令和8年6月8日
自らを花で飾るや額の花 令和8年6月9日
この国はここから始まる植田かな 令和8年6月13日
老鶯の名は世を忍ぶ声強し 令和8年6月15日
蛞蝓も光を避けて暮らしをり 令和8年6月18日
嫌わるゝを知りてや蛞蝓夜の道 令和8年6月18日
梅雨の夜なめくじぬめりぬめりかな 令和8年6月19日
娘の言葉、そのまま句になる
なめくじは昼間はどこにいるのかな 令和8年6月19日
若き日の友と語るに明易し 令和8年6月21日
短夜や振り返りつゝ別の道 令和8年6月21日
ひと
かきやりし黒髪の女明易し 令和8年6月21日
苦悩して娑婆に暮らさん夏の行 令和8年6月22日
白雲と青空写す植田かな 令和8年6月23日
まだあるや蚊取線香球磨の宿 令和8年6月23日
江津湖
五月雨に日に日に湖面の膨らみぬ 令和8年6月25日
梅雨恐ろし湖面に木々の頭だけ 令和8年6月27日
洗濯はここぞとばかり五月晴 令和8年6月29日
雨風に我が道を行く梅雨の月 令和8年6月29日
そういえば 息子は元気に しているか
束の間の再会嬉し梅雨の月 令和8年6月29日
娘の言葉、そのまま句になる
どうしよう!お風呂に毛虫がいるんだけど! 令和8年6月29日
ありそうな茅の輪をくぐれば別世界 令和8年6月30日