心の旅

~ 故郷の旅  あるいは、終活の旅 ~

 2、3日、細かいスケジュールをあまり決めずに

 のんびり熊本の菊池川に来られてみませんか。

 例えば、「終活の旅」などいかがでしょうか。

 

テーマパークや都市の駅ビルやアウトレットはありませんし

インスタやミシュランに頻繁に登場するお店も少ないですし

インバウンド等のお客様もとても多いとまでは言えませんし

交通の便もとても良いとまでは言えませんが、

 

本来の姿に近い四季折々の山や川の自然

 山の幸と川の幸、滋味あふれる旬の味わい

  どこか懐かしい慎ましい生活とそこに暮らす温かい人々・・

あるいは、私たち現代の日本人が、

  忘れてきてしまったもの・なくしてしまったもの、

     置いてきてしまったもの・棄ててきてしまったもの ) 

 

おそらく、現代の日本人にとって、とても価値のあるお時間、

「自分の見つめ直し」「人生の振り返り」の旅となることでしょう。

 

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露一つ露に呑まれてこぼれけり

 

雲上の宮に尽きたる落葉径

 

草いきれ道に迷えばさらに濃く

 

紅葉散る奥へ一縷の水の音

 

差し交す紅葉に底の知れぬ渓

 

人声の去りて蛍は星となる 

 

潔しガラシャ御廟の落椿

 

一山をしぼり上げゆく山火かな

 

南朝の誉は永久に菊人形

 

匂い立つ菊人形の丈夫振り

 

奔放に生きるもよろし乱れ菊

 

朗々と鴬のごと語りたし

 

命あるごと草掴む蝉の殻

 

踏青や足より命よみがへる

 

秋の蝉眼の濡れてゐるやうな

 

生かされて長き晩年草の花

 

落城のごと大銀杏黄落す

 

銀杏黄葉蔀のおりた能舞台

 

隠沼の風震はせて鳰の笛

 

百年の風格揺るる糸桜

 

能舞台ふはりとよぎる揚羽蝶

 

一枚の空千枚の青田かな

 

一水を染めて流るる紅葉渓

 

よへほ節大地ゆらりと踊り初む

 

ダム湖より河鹿の嘆き聴く夜かな

 

涸れ滝に一縷のいのちありにけり

 

湖底には歴史眠りて暮早し

 

石蕗の花静かに暮れる神の庭

 

一畳に余る懸崖菊花展

 

渓谷のしぶきに夏を忘れけり

 

彩りを風に残して紅葉散る

 

水音もまた華やかな紅葉山

 

稜線のうねりだしたる初茜

 

朴の花天女の休みどころかも

 

笹子鳴く遁れきし皇子眠らせて

 

地震の跡更地の隅に寒椿

 

寒梅を一輪咲かせ風去りぬ

 

くれなゐの莟ほどきて梅真白

 

岩清水心の錆を解しけり

 

果てしなき戦ひつづく草取女

 

菖蒲湯にほぐるゝ古希の五体かな

 

旅先の足湯ほのぼの春隣

 

蔵米を運びし川や花菖蒲

 

枯蔓のなほ引き返す力あり

 

海の青椀に広ぐるあをさ汁

 

梢伸ばし切つて春待つ一樹かな

 

滝凍てて音無き音を落としけり

 

零余子飯遠き思ゐ出話など

 

指の先より迫り来る紅葉冷

 

露けしや重朝公の夢の跡

 

めでたさや静かに酌まむ菊の酒

 

開拓碑古りし沃野に雲雀鳴く

 

春の海大海原へ走り出す

 

大地震の渓鎮魂の紅葉かな

 

落石の菊池渓谷川とんぼ

 

身に入むやダムに沈みし村のあと

 

谷深く日矢を拾うて鳴く笹子

 

釣られたる若鮎山の色放つ

 

石橋の匠の技や風光る

 

石積みの石工の技や橋涼し

 

惜春の石橋ほのと日の温み

 

上流へ魚影一瞬夏来る

 

青き踏む大地の声を聞きながら

 

鮎の子の光となりて溯る

 

一閃の翡翠水面を切り裂けり

 

一章を閉ぢたる如く花は葉に

 

水音へ消えてしまいし糸蜻蛉

 

地震歪みせし北窓を開きけり

 

力秘めたるぼうたんの蕾かな

 

糸柳肩の力を抜いてをり

 

春愁を流るる水に乗せにけり

 

若菜つむひかりの雫したたらせ

 

滝仰ぎ声まで濡れてをりにけり

 

せせらぎにこゑ磨かれて初河鹿 

 

帳場の灯瀬音に揺らぐ鮎の茶屋

 

ゆきずりの雨の茅の輪を潜りけり

 

抱き上ぐる子の手に花の触るるまで

 

野遊びの子らは疲るること知らず

 

迷ひつつ前へ前へと蜷すすむ

 

決断はいつもゆつくり竹の秋

 

生き直す力漲る蘖ゆる

 

囀りや寡黙貫く夫に添ふ

 

春あさき奥の院への行者道

 

奥宮の階染めて散る紅葉

 

神鈴に白梅仄と香り立つ

 

甘茶仏一杓ごとにかがやきぬ

 

昃れば心許無し冬桜

 

望郷の想ひひとしほ盆の月

 

若竹の山より美しき鳥語

 

夕菅へ星の布石の始まりぬ

 

いくたびも病窓かすめ燕去ぬ

 

一山に手招きさるる紅葉かな

 

雲払ひ雲にかくれて十三夜

 

鳥声の日に日に響き春隣

 

渦となり宙に浮きたる山火かな

 

寒明けやかるくなりたる笹の音

 

里山に母恋ふ雉の声すなり

 

看取りまた神のはからひ髪洗ふ

 

後もどり出来ぬ人生蝸牛