「奥の菊道」俳句会

「奥の菊道」俳句会:入選句

和5年4月30日締め切り分 応募句より     井芹眞一郎 選

 

一席 渦となり宙に浮きたる山火かな 大牟田市 鹿子生 憲二

(評)毎年、二月末から三月にかけて阿蘇では一斉に野焼が行われる。放牧の牛馬につくダニを退治したり、草原の維持を目的とする行事は何百年と続けられている。掲句はその燃える激しさを詠ったもの。

 

二席 寒明けやかるくなりたる笹の音  合志市 坂田 美代子 

(評)一月の小寒から立春までが寒中で、寒さから逃れる日も近いと思う嬉しさも一入である。笹の音にも心が弾む。

 

三席 里山に母恋ふ雉の声すなり    熊本市 稲田 夏子

(評)ケンケンと独特の声で鳴く雉。求愛や縄張りのための声だが、いかにも寂しげに聞こえる。掲句、作者の心の中の母への思いが一句となった。

 

入 選 

牡丹の一輪に風重たかり       熊本市 牧野 立身

回覧板届けて愛づる花馬酔木     熊本市 中野しずこ

母と子の永久の別れに雪の舞ふ    菊池市 宮本 敏子

朴の香に引き寄せられてゐる漢    熊本市 牧野 保子

心にも育つものある四月かな     熊本市 隈部 輝子

一斉に木の芽吹き出す雨上り     熊本市 石橋みどり

悲しみを希望に染めて桜舞ふ     御船町 田中眞知子

修復を終へて巣を守る燕       山鹿市 本田 孝子

やはらかき風を遊ばせ桜草      合志市 岡﨑 浩子

桜貝掌にのせ孫の愛らしく      熊本市 谷川 光正

野良猫の背に草の実を一つ付け    益城町 福永 克己

戦なき世を生き延びて花見かな    熊本市 藤岡 宏仁

花見酒ほろよひ人の足ゆるむ     熊本市 藤本 輝子

をさなごと遊ぶ手の先あたたかし   熊本市 松田留以子

風にのりつつ散りそめし花辛夷    熊本市 榎本ハツ子

春風が促すやうに蕾なで       熊本市 西本 丈正

みちのくの花の便りや故郷恋し    熊本市 南 幸子

楠若葉木陰に休む乳母車       熊本市 真野 幸子

涅槃東風入れてトロッコ列車ゆく   熊本市 貴田 雄介

よき日和風の吹くまま花吹雪     熊本市 近浦眞智子

 

選者吟                  眞一郎

     夏燕雨切り返し切り返し

     我先に梢を目指す掛り藤

     滴りの音の密かにあるばかり

 

「奥の菊道」俳句会:作品募集

ダウンロード
「奥の菊道」俳句会:応募用紙/令和5年7月31日 締め切り分
「奥の菊道」俳句会:応募用紙5.pdf
PDFファイル 190.9 KB

「奥の菊道」俳句コンテスト

 「奥の菊道」俳句コンテストは

これから少しずつ消えていってしまうかもしれない

美しい自然の風景や謙虚な生活が残る

熊本県内の山里・故郷の情景を俳句に詠んでいただき

 

その俳句を広くご紹介していくことで

大切なことを見失ってしまった現代の日本社会への

故郷からの最後のメッセージを伝えていくことを

目的とした俳句コンテストです。

 

 熊本県内の山里に吟行いただき、そこで詠まれた皆様の俳句を

「奥の菊道」俳句コンテストにご応募ください。

 

 このホームページの「旅行」のページに掲載されている俳句は

過去12回の俳句コンテストの入賞作品です。

一句一句の俳句を読み進めていただければ、

素敵な心の旅のお時間になることでしょう。

 

「奥の菊道」俳句コンテスト:入賞者の皆様

弊社が企画・運営する「緑川行燈」企画では、これまでの多くの俳人たちに

詠まれてきた有名な俳句をご紹介しています。そちらも是非ご覧ください。

「緑川行燈」:midorikawaandon.com