第3企画     花  影

奔放に生きるもよろし乱れ菊

 

匂い立つ菊人形の丈夫振り

 

ふる里は山紫水明菊薫る

 

めでたさや静かに酌まむ菊の酒

 

蔵米を運びし川や花菖蒲

 

石蕗の花静かに暮れる神の庭

 

一族を誇る社や石蕗の花

 

朴の花天女の休みどころかも

 

コスモスや空に残れる白い月

 

生かされて長き晩年草の花

 

くれなゐの莟ほどきて梅真白

 

南朝の昔を今に菊人形

 

南朝の誉は永久に菊まつり

 

南朝のもののふの宮菊薫る

 

騎馬武者の駆け上がる空菊日和

 

武光公菊の大群引き連れて

 

露けしや重朝公の夢の跡

 

黙したる将軍木にある淑気

 

大冬木歴史の重さ仰ぎみる

 

おほらかに揺るる赤米鞠智城

 

なだらかに連なる古墳下萌ゆる

 

チブサンへ誘ふ小径ほとけの座

 

里宮の修復成りし神迎

 

紅葉散る奥へ一縷の水の音

 

一水を染めて流るる渓紅葉

 

行く末は風にまかせて渓紅葉

 

差し交す紅葉に底の知れぬ渓

 

万物の生気漲る滝しぶき

 

水音もまた華やかな紅葉山

 

石清水心の錆を解しけり

 

大地震の渓鎮魂の紅葉かな

 

落石の菊池渓谷川とんぼ

 

春の水大海原へ走り出す

 

谷深く日矢を拾うて鳴く笹子

 

寒梅を一輪咲かせ風去りぬ